今冬も渋谷では、越年越冬闘争実行委員会を組織して、野宿の仲間とともに協力して冬を越す越冬のとりくみ、とりわけ役所が閉まり、仕事がなくなる年末年始の時期に連日の野営と共同炊事を実施する越年のとりくみを行います。
これまで共同炊事、そして渋谷越年越冬闘争が取り組まれてきた美竹公園は、再開発にともなう追い出しの対象となり、現在は封鎖されています。これに加えて渋谷区は、美竹公園に起居していた野宿の仲間の移動先、また現時点で共同炊事を開催している場所である神宮通公園に対しても、とんでもない追い出しをしかけてきています。
越年越冬闘争については、12月10日によびかけ文を掲載しました。しかし、呼びかけ文の起草が美竹公園封鎖の前であったこと、神宮通公園での追い出しが予想だにしないものであったことから、現状のご報告としては不足のきらいがあります。そこで、美竹公園封鎖の状況、および神宮通公園での追い出しの経緯について、改めて簡単に説明します。
美竹公園でなにが起きたか
美竹公園および隣接する公有地は、都・区共同の再開発事業である「渋谷1丁目地区共同開発事業」の対象となっています。そこでは、約1万平米を渋谷区・東京都がヒューリック・清水建設に70年間貸し出し、施設を建設・運営させる計画です。児童会館跡地、分庁舎跡地には14階建てのオフィスビルが建てられる予定。現在の美竹公園の部分は、地下を掘ってホールをつくり、土をかぶせた地上の部分が、あらたな「美竹公園」に指定される、ということになっています。実際には「美竹公園」は単なるビル前広場とされてしまう計画です。
再開発にかかわる工事は、年明けに行われるというのが渋谷区による説明でしたが、今年の10月25日(火)の早朝6時半、渋谷区は100人程度の区職員、警備員を導入して美竹公園の封鎖を強行しました。封鎖は小屋をかけていた6名の野宿者に対して一切の予告なく、6時半の時点で公園内に寝ていた4名に当日声がけすることもなく行われました。さらに職員は、公園の出入り口を締め切るのと同時に、トイレと水道を使えなくしました。野宿の仲間の抗議を、渋谷区職員は無視してまったく応答せず、封鎖作業が終わった段階で「トイレが使いたければ公園を出てくれ。公園を出たら、もう入らせない」と言い放ちました。身体的・精神的苦痛をもちいて追い出しを行おうとする、とんでもない拷問であり、人権侵害です。
美竹公園内にとどまった、あるいは戻ってきた野宿の仲間のがんばり、および応援に集まった人たちの抗議によって渋谷区公園課長を現場に引っ張り出し、数度にわたる交渉の末、日付が変わったころにようやく公園出入り口のひとつの開錠をかちとりました。以降一ヶ月半の間、美竹公園は出入りができる状態が維持され、渋谷のじれんによる共同炊事も12月10日(土)まで美竹公園で実施されていました。
これ以降、美竹公園に小屋をかけていた野宿当事者および「ねる会議」等は、公園を出ていくのであれば代わりに移動する場所が必要である、として渋谷区との話し合いを求めていましたが、渋谷区は話し合いをズルズルと引き延ばし、その間に行政代執行による追い出しの手続きを始めました。さらに、ようやく話し合いに応じても、「福祉を取れ」を繰り返すばかりでした。
これでは進展の見込みが無いとの判断から、美竹公園に小屋をかけていた野宿当事者は、行政代執行による追い出しの第3段階である「戒告」における荷物の撤去期日前日であった12月14日までに美竹公園から出て、近隣の区立神宮通公園(北側)に移っていました。果たせるかな、12月14日の午前8時、渋谷区は数十人~百人規模の渋谷区職員、警備員を動員して、美竹公園への仮囲い設置を行いました。この時点で美竹公園内にいた2名が退去させられましたが、園内の荷物は一部を残して神宮通公園(北側)に移動済みでした。
12/14(水)神宮通公園(北側)での渋谷区による身体拘束、荷物の強奪
12月14日の午後4時ごろ、神宮通公園(北側)に渋谷区公園課長ほか職員数名がやってきて、荷物を移動するように連呼、また神宮通公園(北側)が利用禁止になっている旨を連呼しました。
これに野宿当事者、支援者が対応している間に、別の入口から数十人の渋谷区職員、警備員が公園内に入り、人垣を作って野宿当事者、支援者が荷物のある場所に戻れないようにしました。その上で渋谷区職員は公園内の荷物の撤去、運び出しを始めました。
運び出した荷物はトラックに積み込まれ、移送されました。荷物の撤去、運び出しは午後6時ごろまで続き、公園内の荷物は、身につけていたもの以外すべてが撤去、移送されました。
その間に警備員の人垣は、野宿当事者、支援者を取り囲む形で狭められ、最終的には10メートル四方程度の一角に拘束される状態になりました。この間、彼らは荷物に近づくことも、公園から出ることもできませんでした。荷物の持ち主が目の前におり、所有者であることをそれぞれ主張していたにもかかわらず、渋谷区は一切顧みることなく、すべての荷物を「所有者不明」として持ち去りました。
撤去、運び出された荷物は、テント、寝袋、共用の毛布、財布、処方薬、靴、上着、メガネ、携帯電話、輪番仕事の登録証(通称「ダンボール手帳」)、自宅の鍵(支援者の所持品)など、ありとあらゆる生活必需品です。拘束されていた人たちは身につけていたもの以外何もない状態で、したがって寝場所がない、靴も上着もメガネもない、持病の薬が飲めない、翌日の仕事に行けない、自宅に帰れないといった状態で取り残されました。
このような暴挙は言うまでもなく命を直接的な危険にさらすものです。また、当時公園内にいた野宿当事者、支援者は、数十人の警備員の人垣に取り囲まれ、10 メートル四方程度の一角から物理的に移動できない状態とされました。このような拘束、監禁は、危険、不当なものであり、違法でもあります。さらに、本件の強制撤去は、法的根拠にもとづかない違法なものでした。これに先立つ美竹公園の追い出しでは、一ヶ月以上の時間を費やして行政代執行の手続きが執られましたが、神宮通公園(北側)における荷物の撤去は、行政代執行、あるいは民事裁判上の強制執行のような手続きにもとづかない、ただの暴力による強制です。
翌日以降、荷物の大部分は取り戻せました。12月17日以降、渋谷のじれんによる共同炊事も神宮通公園(北側)で実施されています。しかし、公園の利用禁止が続いていること、起居している野宿当事者を威嚇するように警備員が配置されていることなどから、いまだに不安定な緊張状態が続いています。
改めて越冬・越年へ支援のお願い
越冬・越年の活動のために、カンパのご支援をぜひよろしくお願いいたします。コロナ対策上、また活動の場所が流動的であるため、「現金カンパ」とさせていただきたくよろしくお願いします。
★渋谷越冬実 銀行口座 みずほ銀行浅草支店(店番号618)口座番号1019075 シブヤエツネンエツトウトウソウ
★ゆうちょ 郵便局 郵便振替口座00160-1-33429 のじれん(「越冬カンパ」とお書き添えください)
※今年も毛布購入、発電機などのレンタル代、食材・カイロなど物資購入に充てます。昨年も新品下着の購入配布等、有り難く使わせていただきました!
※現地への物資持ち込みは今年はすみません、基本的にご遠慮ください
支援者で参加希望の方は、事前にメールにてお知らせくださるようお願いいたします。野宿の仲間にコロナに感染させないよう、支援者は連絡がとれる人で交代しながら参加の予定。メシは基本的にお弁当持ち帰り、野営は一人テントにし、コロナ感染回避につとめます。
★連絡先 メールnojiren@live.jp 電話 070-1181-3819
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