10月25日、渋谷区は区立美竹公園を一切の予告なく封鎖し、公園内で生活している野宿者に対して暴力的な追い出しを試みました。過去に例を見ないひどい排除のやり方です。これに関して渋谷のじれんは、今期の渋谷区議会に対して下記の陳情を提出しましたが、残念ながら、12月5日の区民環境委員会で不採択となりました。
また同日の区民環境委員会に、年内にさらなる追い出しをするための、総額7,893万円の補正予算案が提起されました。10月25日の追い出しの約10倍の規模です。あれだけの酷い追い出しを行って、反省の色も見せずにさらなる排除を行うとは信じられません。同補正予算案は、12月7日(水)13時~の渋谷区議会本会議にかけられるようです。傍聴は渋谷区役所13階の区議会受付へ。
陳情の件名
渋谷一丁目地区共同開発事業にともなう強制封鎖、野宿者追い出しに関する陳情
陳情の理由
渋谷区が東京都と共同し、またヒューリック、清水建設からなる「Link Park」に委託して推し進めようとしている「渋谷一丁目地区共同開発事業」は、渋谷区内の都有地・区有地に14階建てのオフィスビルを建設し、70年間運営させるものです。その用地は、旧都立児童会館、渋谷区立美竹公園の敷地を含みます。
美竹公園では、1998年以来、野宿者、困窮者による炊き出し活動(共同炊事)が行われており、毎週100人以上が集い、交流する場として機能しています。炊き出し活動は公共的活動であり、野宿者、困窮者にとってセーフティネットとしての意義を持っています。共同開発事業にともなう工事は、炊き出しの継続を不可能とします。共同開発事業では、美竹公園は民間の指定管理者により管理されるものとされています。これは、工事完了後の炊き出しの実施をも危うくするものです。
この美竹公園を、2022年10月25日、早朝6時30分ごろに、渋谷区職員が強制封鎖しました。公園内で寝泊まりしていた数名の野宿者に一切の予告なく、当日事前に声がけすることもなく封鎖を強行したものです。封鎖にあたって渋谷区職員は、公園内のトイレ、水道を使えなくしました。抗議する野宿者に対して渋谷区職員は、「トイレが使いたければ公園を出ろ」と言い放ちました。身体的苦痛を用いて追い出しを行う、甚だしい暴力です。
「渋谷区基本構想」には、重視するべき考え方として「ダイバーシティとインクルージョン」が挙げられています。今回の暴力的な追い出しは、このフレーズが実質を伴わない空文になっていることを明らかにしました。また、美竹公園利用禁止の告示(渋谷区告示第190号)は、長谷部区長名で、10月25日当日の朝に出されています。長谷部区長には、今回の暴挙に直接の責任があります。
以上より、下記の項目を陳情いたします。
陳情の願意
野宿者強制排除を今後二度と行わないこと。身体的苦痛を与える、あるいは実施を事前に通告しないような強制排除はなおのことである。
渋谷一丁目地区共同開発事業の計画見直し、美竹公園の利用に関して、野宿当事者及びその支援団体との話し合いや協議の場を持つこと。
美竹公園で行われている炊き出し活動について、その継続が可能な場所の確保に渋谷区も協力すること。
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