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共同炊事の現場である美竹公園一帯の再開発計画に反対します #渋谷区美竹公園再開発

わたしたちのじれんは、1999年以来20年以上にわたって、渋谷区立美竹公園で共同炊事(炊き出し)活動を行っています。その美竹公園を含む一帯の土地で、渋谷区、東京都による再開発計画が進められようとしています。私たちは再開発計画に反対します。


美竹公園と共同炊事


美竹公園は、渋谷駅宮益坂口から明治通りを北に向かったところにある公園です。宮下公園や北谷公園の再開発の結果として、渋谷駅周辺では数少ない、誰でもいつでも使えるふつうの公園になっています。


わたしたちのじれんはこの美竹公園で、毎週土曜日に共同炊事活動をおこなっています。ここでは、ホームレス状態の人たちや支援者などが一緒に食事を作って食べます。毎週100人以上、新型コロナの流行以降は150人くらいが共同炊事で食事をとっています。


食べることそれ自体も重要ですが、活動の主たる目的は炊事、食事や、その合間の話し合いやおしゃべりを通じて交流、情報交換すること、襲撃や追い出しなどの事態にみんなで対処できるようになることです。この側面は新型コロナ予防のために大きく制約されつつも、密集しないかたちでの話し合いなど、工夫しながらなんとか続いています。


また共同炊事のあとには、野宿の人たちの居場所を訪ねる夜回り活動を行っていますが、この夜回りの拠点となっているのも美竹公園です。夜回りは、共同炊事に来られない人、来たくない人、たまたま来ていない人と話をすることが目的の活動です。寝場所の状況について話をしたり、時には医療などの緊急対応を行うこともあります。


このように共同炊事活動は、ある種の公共的機能を担っていると考えます。ひとつは、お金がなくても食事が取れる場所としての機能です。上述したとおり、新型コロナの流行以来、共同炊事への参加者は顕著に増えています。新型コロナ以降に来るようになった人たちは、野宿生活をしながら、あるいは野宿の合間に就いていた仕事がなくなり、食費が足りなくなった、新たに野宿状態に追い込まれた、なんとか家を確保しながらも困窮状態に追い込まれたなど、その状況はさまざまです。困窮者が食べるのに行き詰まり、炊き出しを利用せざるを得ないことは不当なことですが、現状ではいつでも誰でも食べられる場所は必要です。


ふたつめは、交流の機会です。もちろん野宿の人たち同士が交流する機会は炊き出しの場に限りませんが、離れた地域の人、ふだん交流する以外の仲間、かつて野宿をしていた人、支援者など、多様なバックグラウンドの人たちがいちどきに一箇所で会うという点において、炊き出しの場は貴重です。とりわけのじれんの共同炊事においては、食事自体に劣らず交流の機会を重視していることは前述のとおりです。


みっつめは、生活保護など公的制度とのかかわりです。私たちは生活保護の利用を推奨したり、「福祉につなぐ」ことを活動方針としているわけでもありませんが、野宿状態からの生活保護取得については当然の権利として、必要な場合には申請への同行など支援を行っています。当事者がひとりで福祉事務所の窓口に向かうことがためらわられてしまうこと自体が問題ではありますが、現状においては、夜回りも含む共同炊事の場が、生活保護など公的制度の利用にいたる中継地として機能していることはたしかです。


上記のような性格をもつ共同炊事活動を実施するためには、誰でもいつでも入れて留まれる場所が必要です。そのような場所は、渋谷駅周辺では美竹公園のほかにほとんどありません。この地域では貴重な「ふつうの公園」である美竹公園は、当然ながら共同炊事活動だけでなく、子どもづれの散歩、仕事の合間のひまつぶし、待ち合わせ、お昼寝、ダンスの練習など、さまざまな形で利用されています。


美竹公園一帯の再開発計画


この美竹公園について、渋谷区と東京都が合同して再開発を行おうとしています。区立公園に東京都が関わろうとしていることは奇妙なことです。実は、隣接する都有地(東京都児童会館跡地)と、さらに隣接する区有地(第二美竹分庁舎)をあわせた1万平方メート弱の土地を、一体のものとして再開発しようとしているのです。


都と区による事業実施方針は、児童会館跡地・第二美竹分庁舎の土地に賃貸マンションを、美竹公園の地下にホール、地上に「公園」を、それぞれ民間事業者に建設させ、70年の定期借地権契約のもとで運営させる、というものです。



この事業実施方針は不可解なものですし、大いに問題があります。前提として、公園は理由なく廃止したり、面積を削減したりすることは法制度上できないものです。美竹公園の地上部分に「公園」を整備するとしていることは、このためと考えられます。しかしながら、美竹公園部分とそれ以外の土地の、まったく性質の異なる整備を一体のものとしておこなおうとしていることは、意味不明です。また、児童会館跡地・第二美竹分庁舎の土地の整備方針について言えば、住宅供給過剰が問題となっている東京都内で、中流層以上向けの住宅を提供するために、公共の土地を実質売り渡すことも、理にかないません。


何よりの問題は、美竹公園の整備計画の内容です。実施方針の中には、美竹公園の地下部分、地上部分の工事のあいだ、一部分でも公園が利用できるようにする、という条件は入っていません。この状態で発注がなされるとすれば、工事がおこなわれるおそらくは数年間、公園がまるっきり利用できないことになります。また、本計画と同様に70年の定期借地権契約のもとで民間企業が管理している宮下公園の現状を考えれば、工事が終わり公園が再開したあとも、「誰でもいつでも使えるふつうの公園」になるかどうかはきわめて不透明です。


この事業実施方針にもとづいて美竹公園一帯の再開発が行われるとすれば、明らかに工事中・工事後とも共同炊事活動の継続が困難なものとなります。また、「誰でもいつでも使えるふつうの公園」が渋谷駅周辺からなくなることは、子どもづれの散歩、仕事の合間のひまつぶし、待ち合わせ、お昼寝、ダンスの練習など、現在美竹公園を訪れている人たちのさまざまな活動ができなくなることでもあります。またこの期間、災害時の一時集合場所としての機能は停止することになり、防災の問題もあります。


私たちのじれんは、この再開発計画に反対します。東京都、渋谷区は、公有地を私企業に売り渡す計画を停止するべきです。また渋谷区は、公園の整備方針を再度考え直すべきです。公園はみんなが使える場所であって、開発のために都合の良い空き地ではありません。



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